top of page

【コラム】「ループ」する子どもたち



久しぶりにコラムです。職員研修で使ったネタです(笑)


ブログでは、行事の様子など楽しい場面をご紹介することが多いですが、もちろん子どもたちが集まればトラブルも起こることがあります。さて、学童で実際にあった事例を3つほどあげます。この事例に共通する子どもたちの思考はなにか読み取ってみてください。


事例①「変なあだ名」

A男児:おばあ○○ちゃん

B女児:おじい○○くん

A男児:ふざけんな!(連絡帳バーンと床に投げる)

先生:何ケンカしているの?

A男児:おじい○○くんと言ったからだ!

B女児:おばあ○○ちゃんと言ったからだ!


事例②「仲間はずれ」

C男児:(塞ぎ込んでクスクス泣く)

先生:どうしたの?

C男児:ボール遊びで仲間はずれにされた

Dグループ:君がいつも文句言ってくるからじゃん


事例③「声の大きさ」

先生:学習中大きな声をださないで。

E児:Fが話しかけてくるからだよ

F児:Eのお前が始めたんだろ!俺は静かにしてたよ

先生:声の大きさを調整するのは他人ではなく、自分だよね?


何が読み取れましたでしょうか。

お気づきの通り「やり返し」「人のせい」の考え方が隠れています。いじめなどの心配から、お家でも「やられたらやり返せ!」というご家庭もあります(ウチもそうでした)。トラブルをはじき返すイメージだと思いますが、関係性を読み解くと実は逆にトラブルを引き寄せてしまいます。

例えば、「盗まれたら盗んでしまえ」、「叩かれたら叩いてしまえ」、「文句言われたら言い返せ」は、そういう子たちで構成されるグループや人間関係がその子とその周りに育ってしまいます。想像したらキツいです。グループ内で頻繁にケンカが起き、責任のなすりつけあいが始まる…。


理由があれば、人を傷つけてもよい(悪くない、怒られないだろうという刷り込み)という風にも解釈できるので、こじつけたり、自分が先に手を出しても相手がやったという嘘をついてみたり…。嘘でなくても「相手がこうしたからだ!」とやり返しや倍返してこう意気まいて発言をする子は、理由があれば人を傷つけてもよいという考え方を持っているといえます。


「人の振り見て我が振り直せ」ということわざがあります。

誰かが良くない行いをしていることに気づいたら、自分もそうでないか振り返れということ。その真逆、誰かが悪いことをしたら、「やり返し」によってその負の行為を取り入れることになってしまうのです。(人の悪いところ集めの習慣=自分が嫌いな行為をする人に似てきてしまう)


大人になれば分別が付く訳でもなく、大人でもそういう人いますよね…(^_^;

過って人を傷つけることもあるでしょう。でも、気が済まないからとそれをやり返す場合は、「意図して嫌がらせをする」といことです。しかも「やられたこと以上」のこと「関係のない嫌がらせ」をする場合も。それを平気でやっちゃう。平気どころかスッキリして気持ちがよくなっちゃいます(繰り返す原因) 。

誰かに注意されてもどうにか人のせいにする癖が付いて、注意しても素直になれず、同じトラブルを繰り返します。この誰も得しない負のスパイラルに陥り抜け出すのは容易ではありません。人のせいにした方が、その場は楽に過ごせることの方が実際には多いからです。ただ、その副作用は非常に大きいです。


やり返す目的は、相手に自分が傷ついたと知らせたいことでしょう。本来は、相手の行為を正したいのでしょう。言い合いしている子たちに

「一回相手の悪いところは置いておいて、自分で反省するところが1ミリでもあるならそこを言ってごらん」と言います。すると言えるんですね。「ほかに相手に言いたいことがある?」というと、先ほどの激論が嘘のように「ない」の一言で解決してしまいます。わかってくれればいいんですよね。


相手を注意したいのであれば、自分は正しくあるべきです。理由があるにせよ暴力で仕返した人を「なんで暴力するんだ」と批判しても説得力もありません。


「先にやった方が悪いのでは」と思ったかもしれません。

でも、人間・友達関係は積み重ねなんです。今回は僕だけど、根底には「前に君もやったじゃん」が隠れている。仕返しがループされているんですね。


だから、そういう関係が育った同じグループ内ではお互いがそんな不信状態(お前が言うな!状態)なので、「前に何かやった」とか「君もそうだ」とか、責任のなすり合いが延々と続くけれど、どちらも聞く耳を持っていない…。


理由はあるにせよ、自分が誰かにやれば、自分に跳ね返ってきて、さらに出会う人々と負のループをどんどん作っていくので、何よりその負のスパイラルを理解できない本人が一番苦労します。


それじゃあ、その負のループ・スパイラルに陥らないようにする、脱却する為にはどう話したらよいのでしょうか?

1,悪いことの真似はすべきではない(悪いことを吸収しちゃうよ)

2,自分の行為は自分で責任をとる(相手と自分は別もの)。自分の行為は相手がきっかけにはなるにせよ、責任にはできない

3,間違うことは悪くない(ケンカしても互いに許し合い成長できる仲間を作る)

4,やり返すことより恩返しをする(信頼の言葉かけ)

5,繰り返されているようであれば、一度過去の間違いはとことん話し合って、お互いに0に。やり返しを生まない意識を互いに作る


特に失敗した時に温かい言葉をかけてくれる友達がいたら、信頼が生まれます。なすり付け合いではなく、お互いに助け合える関係性ですね。


やられたらやり返す!倍返しだ!(半沢風)


ではなく


「やり返し」ではなく「恩返し」


悪いスパイラルに飲み込まれず、いいスパイラルを作っていく意識がもてたらきっといい友達がたくさんできると思います。

Σχόλια


NPO法人キズナベース​ 
〒309-1703  茨城県笠間市鯉淵6267-78

☎ 050-3033-6614

 Copyright © 2016-2025 NPO KIZUNABASE. All Rights Reserved.

bottom of page